このレポートは
僕が20歳まで童貞だった非モテから
美女にモテまくる男になる
『下克上エピソード』です。
【前回のあらすじ】
東カレで出会ったフォロワー5万のハーフ美女と結婚し、家族で幸せを築いていた俺。しかし、彼女の退職とコロナ禍を境に生活は崩れ、家にこもる妻の不安と嫉妬は怒号へ変わり、俺は“悪者”として責められ続けた。家族を守るために働けば働くほど、家では理解されず心が摩耗していく。このままでは人生ごと壊れる。自由を求め、6ヶ月の限界を超え、俺はついに妻へ「離婚しよう」と告げ、家を出た
【前回までの記事↓】
1,俺の人生終わってんだけどwwww落ちこぼれからの成り上がり サムハラ転生Ver1
2,非モテ陰キャがサムハラがあこがれの大学生になった結果www…….地獄落ち>>>~落ちこぼれからの成り上がりサムハラ転生Ver2
3,え、人生初彼女と1週間で別れたんだがwwwなんか質問ある? 落ちこぼれからの成り上がり~サムハラ転生Ver3
4,サムハラが女の子に存在を否定された瞬間~落ちこぼれからの成り上がりサムハラ転生Ver4
5,頭のおかしい会社に洗脳されたサムハラの行方…..~落ちこぼれからの成り上がりサムハラ転生Ver5
6,営業で学んだ知識を使ったら恋愛戦闘力が1000を超えた話~落ちこぼれからの成り上がりサムハラ転生Ver6
7.人権がない会社のワクワク入社体験記~落ちこぼれからの成り上がりサムハラ転生Ver7
8.女に飢えたバケモノが地獄の底なし沼に片足を突っ込む~落ちこぼれからの成り上がりサムハラ転生Ver8
9.美女が集まる『東カレ』の存在を知り、地獄の底なし沼に両足を突っ込む~落ちこぼれからの成り上がりサムハラ転生Ver9
10.非モテ童貞だった男。まさかの現役モデル美女と付き合う~落ちこぼれからの成り上がりサムハラ転生Ver10
11.さようなら、初めて本気で愛した人よ~落ちこぼれからの成り上がりサムハラ転生Ver11
12.目があぁぁ、目があぁぁ…港区の洗礼テキーラ祭り~落ちこぼれからの成り上がりサムハラ転生Ver12
13.女攻略してたら仕事を手に入れた話~落ちこぼれからの成り上がりサムハラ転生Ver13
14.ついにブチギレ!!!サムハラ怒りの家出編~落ちこぼれからの成り上がりサムハラ転生Ver14
俺は人間火力発電所だ
「うぉ、このラーメン、めっちゃうまいな。」
湯気の向こうで、
スープがゆらゆらと揺れていた。
深夜の恵比寿。
カウンターに座って、
俺はしばらく箸を止めたままだった。
あの日から半年。
何を食べても味がしなかったのだが、
女と正式に離婚をして、
とてつもない開放感が俺の心を満たしていた。
荷物の整理、
両親への報告と挨拶まわり、
仕事の調整、
新しい家探し、
法的な書類の作成、
裁判、
金銭の合意。
などなど、
数々の苦労を経て、
全てが解放されたのだ。
「うおおおお、やったぜ!
これで晴れて俺もバツイチ独り身だ。」
新しい部屋は港区。
広尾駅から8分。
窓からは
ミッドタウンの光が見える。
家具は最低限。
ソファもベッドも一人用。
部屋の広さに対して
ものが少ない。
でも、それでいい。
余計なものがあると、
思考が鈍る。
夜。
ベランダで1人シーシャを吸うと、
煙がゆっくりと空に溶けていく。
本当の自由って、
やっぱり静かで居心地がいいな
ということを再確認する。
風が頬を撫でる。
遠くでタクシーのクラクションが鳴り響く。
港区の夜は、
誰かの欲望と、
誰かの絶望でできている。
俺は、
港区美女攻略に乗り出した。
昼はデスクワーク、
夜は打ち合わせ。
今までとは違う。
もう守るための生き方じゃない。
人生を奪い返すための生き方だ。
失ったものを取り戻す。
そして、もう二度と奪われないように。
そして、
これまでどれだけ渇望しても
得ることができなかった、
本物の美女を攻略するために
俺は夜の街に出た。
「サムハラ君は、
口説きに2つのタイプがあることを知っているかい?
それはね、
王様とカメレオンだよ。」
彼の名前はR。
港区で美女を抱きまくっている、
本物のモテ男だ。
会社を2つ経営し、
資産は億を超える。
雑誌に載っているモデルや、
現役の芸能人、
レースクイーンなど、
数々の美女を口説き、
某有名女優と付き合っている。
出会ったのは西麻布の会員制bar。
「面白い人いるから来なよ」
たまたま、
知人の経営者に呼ばれた会で出会ったのだが、
ひと目見た瞬間から、
彼は別格のオーラを放っていた。
これまで100人以上の恋愛講師と会い、
1000人以上の男を見てきたが、
その中でも完全に別格。
立ち振る舞いや漂う空気が
非常に洗練されていた。
整った外見。
言葉から溢れる知性と深み。
王族のように綺麗な所作。
そしてなにより、
優しくて整った雰囲気の裏に隠れた、
色気と妖艶さ。
修羅を潜り抜けてきた顔つきに、
本能が「この人だ!」と告げていた。
エセモテ講師の
軽いフニャッとした人間性とは
比べ物にならない。
俺はその人に300万を払い、
鞄持ちをさせてもらっていた。
「王様とカメレオンですか?」
「そうだよ。
王様は芸能人だったり、経営者、
何か大きな組織のトップが多いね。」
彼は、僕に真理を教えてくれた。
「逆にカメレオンは、
この世の中の99%以上の人たちが使う口説き方かな。
例えば、
芸能人の松潤っているだろ?
彼はジャニーズのトップアイドルとして有名だけど、
彼みたいな男には、
女が嫌と言うほど寄ってくる。
それはなぜだと思う?」
「それは彼に知名度があるからです。
顔のレベルも高く、人気があり、
高収入で人から羨ましがられる存在だからだと思います。」
彼は笑って答えた。
「うん、良い回答だね。
という事は、女は、人が羨ましいと思うものを持ってる男に憧れるわけだ。
実際に何度か酒を飲んだことがあるけれど、
彼の持っているモテ要素は多い。
・外見
・収入
・知名度
・人脈
などなど、人よりたくさん多くのものを持っている。
でも、本質は、その人の心にあるんだよ。
彼はね、根が白いんだ。
たいした力を持たない一個人の僕にも、
飲みに行った時に優しく丁寧に接してくれるんだよ。
すごく周りを気にかけてくれるし、
場の空気を壊さないように立ち回ってくれるんだ。
『昔はもっとやんちゃで尖ってたんですけどね 笑』
と言って笑ってたけど、
それでいて心の奥にはちゃんとオスが隠れてて、
男としての魅力もある。
彼は相当いろんな修羅を経験して、
心のあり方が定まってるんだろうねぇ。
彼みたいな人は俺は好きだよ。」
彼はワインを1口飲み、
こう続けた。
「おっと、話がそれてしまったけれど、つまり、
彼らは何もしなくても、美女が寄ってくる状況にある。
と言う事は、女の子を選ぶ立場にいるわけだ。
そういった場合は、
シンプルに自分が語りをし、
自分の魅力を伝えて口説く。
つまり、
自分のあり方を、いかに目の前の女性に対して魅力的に語れるか。
ということが重要なんだ。」
「一方で、カメレオンタイプの口説き方。
これは、自分が圧倒的な魅力を持っていない場合、非常に重宝する。
要は、
目の前の女の子に合わせて
口説き方のタイプを変えるんだ。」
「目の前の女の子に合わせて口説き方を変えるって
どういうことですか?」
「いい質問だね。
この写真を見てごらん。」
そう言って、彼は、
2枚の写真を俺に見せてくれた。
1人は、菜々緒のような超綺麗系。
ハーフっぽい顔立ちで、身長170センチ位ある美女。
黒色ベースのドレスを着ており、
シャネルのカバンを持っていて、
非常に品がありそうだが、強そうなタイプ。
もう1人は、
北川景子のような、綺麗の中に
ちょっと可愛いニュアンスが入った、
身長160センチぐらいのアナウンサー系美女。
淡い色味の洋服に身を包んでおり、
ちょっとおっとりとしているが、
笑顔がドキっとするような可愛らしいタイプ。
「この女の子をそれぞれ口説こうと思った場合、
君は戦略を変える必要があると思うかい?」
彼は妖艶な笑みを浮かべながら
俺に質問をしてきた。
「そうですね。
外見を見る限り、同じ性格とは思えません。
当然、好みだったり、趣味なども違うと思うので、
相手の性格に合わせた口説き方をした方が、
口説き落としやすいと思います。」
「そう、その通り。
彼女たちは、僕が昔関係を持っていた女性だけれど、
2人ともタイプは反対だった。
だから僕は口説き方を変えたんだ。
じゃあなぜ口説き方を変える必要があったと思う?」
「そ、それはRさんが、
彼女たちとの初対面の段階で、
松潤に匹敵するような魅力を認識されていない状態で
口説いたからですか?」
そう言うと、
彼はフッとにこやかに笑い言った。
「悔しいけどそうだね。
残念ながら、僕は芸能人じゃないから、
世間の人に顔が広く知られているわけではない。
だから、僕のことを知らない人と会う場合は、
王様タイプの口説き方とは相性が悪いんだ。
でも、
僕と初対面の状態からでも、
自分に興味づけをして
相手の心を見出してあげることで、
主導権を握り、
相手が欲しい言葉をかけてあげるだけで、
僕に気を許してくれるからね。」
だから、美女口説くって事は別に難しくないんだ。」
クックックッと
楽しそうな顔をしながら、
彼は話し続けた。
「だから、君はカメレオンの口説き方を極めなさい。
その方が苦労は多いけれど、
人を見抜く力が上がるし、
なんとなく相手から漂ってくる
雰囲気を見逃さずに、
無意識のうちに相手の懐に
入り込むことができるようになるよ。
金やメリットで口説くなんて
下品だし三流のやること。
せっかく本気で攻略するなら、
目の前の人の心をつかむことに注力しなきゃね。
結局美女なんて、
顔のパーツが良くて黄金比で整ってるだけで、
一皮剥げば普通の人間と同じ。
港区に生息している女は、
種類が多いように見えるけど、
選ばれたいか、
支配したいかだけなんだよ。
instagramに載っているような
金持ちの真似事をして、
承認欲求を満たすだけの浅ましいバケモノだらけさ。
その中にたまーに、
性格がめちゃくちゃ良い女がいるから、
そういう子は捕まえたら逃さない方がいいよ。
つまるところ、愛よりも承認。
この街では、在り方ではなく見せ方が価値になる。
つまりね、彼女たちは、
1番重要な“心”を消費しているのさ。
だから、普通の人間でも
心再支配できれば、
漬け込むスキは十分にあるよ。
まぁ、そこにたどり着くまでに、
世間一般的な女の子を口説くよりかは、
お金がかかるわけなんだけどね 笑
ただ、君は僕と会話をした。
30分の中で、そこを見抜いただろ?
だから僕も君に興味を持ったし、
君のして欲しいことを
たった300万円の条件で引き受けた。
これは、悪魔の取引だよ。
一緒に、この港区を楽しもうじゃないか。」
さすがRさん。
めちゃめちゃワクワクさせるのがうまい。
そこから、俺の激動の6ヶ月が始まった。
・港区パーティーへの招待
・会員制barで飲み
・弾丸北海道ご飯
・サウナ旅行
・沖縄旅行
・ギャラ飲み
・樹海遭難体験
・アワヤスカ体験
・神社金運up巡り
・裸足登山
・美術個展のレセプションパーティー招待
・キャバラウンジ攻略
・ハイブランドレセプションパーティー
・社長の家のプールで水着合コン
などなど。
女攻略全振りというよりは、
生き方、遊び方を通して、
その人の思考や行動パターンを学び、
そこから自分にアウトプットして、
それを自分色に染め上げるという
応用型のコンサルではあったが、
様々な経験をさせてもらえた。
もちろん俺も、
ただ受動的に
言われるがままこのコンサルを受けていたわけではない。
毎日最低1人と電話。
週7で東カレ使って実践と振り返り。
深夜5時までは呼ばれたら即行く。
狂ったように遊びまくった。
ただこれ、
自分の感情を満たすためではない。
1年ダラダラやるよりも、
余計なことを全部省いて、
3ヶ月で理論から感覚まで腹落ちさせる。
短い期間で濃縮して詰め込むことが
再現性への近道であることを
理解していた。
そして、期待以上の成果を出せば、Rが喜んで
もっと知見を広げるために
自分に時間を割いてくれる性格だと
私は知っていたからである。
そう。
自分が払った額以上の価値を
相手から引き出すために、
相手に気に入られるのである。
親密度と価格が反比例するのは
有名な話だと思うが、
皆、人間関係作りが下手くそで、
それが実行できていない。
例えば、
週一で3ヶ月間の対面コンサルが100万円なのであれば、
週一で3ヶ月間、毎回1万円ご飯代を払ってあげた方が
88万円安上がりになるわけで、
その差は歴然としている。
好きな人には、
小さなことでいいからギブしてあげる。
そうすることで
思いがけず大きなものを手に入れることができるのだ。
彼からは
特にたくさんの気づきを得ることができた。
例えば俺は、
集団戦になるとどうしても
引きのコミュニケーションに入ってしまうことが多く、
自分から積極的に喋るタイプではなかった。
「それは結局、隠キャでしかないよね。
別に面白い話をする必要はないんだ。
ただ、思ったこと、あった出来事を人に話す時に、
最低限綺麗に引き込む話術は存在する。
君はそれを身につけなさい。
後は、自分から会話の輪に入ろうと努力すること。
これは無理に主導権を握ることではない。
一番目に空気を壊さないこと。
二番目に合いの手が上手くなること。
三番目に引き立てトークができること。
四番目に主導権が握れること。
この順番で上手くなれば
嫌われることはないよ。
後、スカしてる男は嫌われるから、
君はもっとバカになれるといいね。
なんでも完璧にこなそうとする癖がある。」
こう言われたのを覚えています。
また、ある時は急に、
「君は、幸せってなんだと思う?
僕はね、
必要なものが必要なところに
ピタッとハマってる状態の時に
幸せを感じるんだ。
だからね、
食べたいなと思ってたご飯が
無意識に出てきた時もそう。
こういう女がいいなって思ってた時に、
キャバクラで完璧な女の子が付け回されてきた時もそう。
外商が持ってきてくれた物の中に、
俺好みのものがある時もそう。
つまり感動だね。
伝えてないのに
自分の好みのものが出てくる感覚。
僕がセンスいいなと思ってるものに対して、
出てきたものがそれを満たしてくれる状態かな。
で、それをこちらが相手に伝えてないにも関わらず、
自分のセンスにバチっと当てはまるものが出てきた時に、
こいつわかってんな!
こいつセンスあるな!
って人は思うわけさ。
例えば、君はラーメンが好きだろ?
で、「これうまい!」
ってものと、
「もうちょっとこれ入ってれば僕の好みだから通いたいなぁ」
って時があるじゃん。
もう少しコッテリしてれば、
もう少し麺が細ければ、
レンゲの形が自分の口にフィットしてれば、
もう少し掃除が行き届いてれば
みたいな細かい部分。
それが最初から
自分のセンスにフィットしてれば
その店を好きになるよね。
だからもっというと、
人間関係も同じで、
言葉を操ることで、
この人センスあるなって思わせることも大事。
君は少なくとも僕に対しては
これができてたよ。
でも一方で、
小さな減点を極力なくして、
この人と話してるとストレスないな。
居心地いいなって思わせることも重要。
だから、相手がストレスに感じることをなくしつつ、
この人センスあるな。
この言葉が出てくるってことは
どういう人生送ってきたのかな?
その考え方面白いな、
どうやってその考え方に至ったのかな?
というポイントで興味づけをしてあげることも大事。
このセンスとストレスの両輪が回ることによって
会話の魅力は作られていくから
そこもう少し意識してみようか。
ちなみに、センスは
大衆理解が前提にあって、
そこから目の前の人間が所属している層を見極めて、
その層の中で最大値と最小値の歪み+期待値で構成されてるからね。」
というフィードバックを頂いたりしました。
また、ある時は、
「ねえサムハラ君、
隠キャと陽キャの違いってなんだと思う?
僕はね、
自分の体の細胞一つ一つのエネルギーと周波数で構成されてると考えてて、
それらの集合体が、心に影響を与えてるんだよね。
メンタルを科学的に定義すると、
脳の化学反応の結果じゃない?
それは脳内で分泌される麻薬バランスで決まっていて、
ドーパミンは快楽
セロトニンは幸せ
コルチゾールは不安やイライラ
を司るわけだけど、
その人のメンタルは
このバランスに依存してるわけ。
例えばセロトニンが常に出てる人は、
基本的に安定してニコニコしてる。
でもこのバランスが崩れると、
不安、イライラが表面化して
コントロールができなくなる。
で、陽キャであれば、
ドーパミンやノルアドレナリン系が
通常より多く放出されることで
外部刺激に敏感で、
刺激的なことしたり、
人と話すのが好きな傾向が多い。
隠キャであれば、
セロトニンやGABA系が多く放出される体質だから、
常に自分のルーティンを大切にしたり、
落ち着いた環境を好む傾向が多い。
だから、
どっちが良い悪いじゃなくて
これも人間特性のひとつな訳。
そうなった時に、
隠キャよりも陽キャの方が
美女と波長が合いやすい訳。
だから、
脳内の報酬系刺激を
より敏感に反応できるようになる体質に変えていければ、
人はノリが良くなるし
ポジティブに生きることができるようになるよ。」
という話も聞かせてもらいました。
俺は知識興味理解型なので、
なぜ?を理解して、自分の中に落とし込み、
そこから自分流に使えるようにする工程が
面白くて仕方ないわけだが
過去のコンサルを指導した方で、
IT系や経営者系の方は、
結果を出してくれたので、
そういう人とは特に相性がいいかもしれない。
このように、
深い対話を繰り返していくことで、
自分の中に定義が生まれて、
自己の確信度が高まる。
非常に有意義で
良い経験をさせてもらった。
なので、
彼の中には多数の名言が存在してます。
「女は愛を求める生き物じゃない。
“意味”を求める生き物だ。
自分の存在が、
誰かの物語の中でどう扱われるか。
それが心の軸になっている。
港区の女たちは
その“意味”をバッグやホテルや男の肩書きで
補っているだけだよ。
「港区の夜で一番価値があるのは言葉じゃない。
音場と言葉の間だよ。」
「喋りすぎる男は軽く見られ、
褒めすぎる男は読まれる。」
「女は視線と沈黙で全てを判断する。
だから口を動かすな。表情で支配しろ。」
「心の支配って命令でも恐怖でもなくて
相手のペースを奪うことで成立する。」
「相手を魅了したいなら
感情のリズムを
少しずつずらしていくことが大事。
焦らせ、安心させ、また揺らす。
恋愛もビジネスも同じで
このテンポを支配した奴が勝つ。」
この人は、
いったい人生でどれだけ自己問答を繰り返してきたんだろう。
どういう体験をして
その結論に行き着いたんだろう。
話を聞いてて興味が尽きなかった。
1質問すると10返ってくる
彼の思慮の深さに感銘を受けるとともに、
このレベルに少しでも近づこうと
必死に努力した。
夜の街で、
マッチングアプリで、
俺は何度も実験した。
連絡を返すタイミング。
視線の長さ。
笑う瞬間のズレ。
言葉のテンポ感。
思考のずらし。
周波数合わせ。
意識の向け方。
全部、微調整しつつ
自分の最適解を探していく
そしてそれが
完璧にハマった時、
女は自分から堕ちてくる。
まるで自分の意思で選んでるように見えて、
実は俺が決めた道を歩かされている。
港区の夜は光が多すぎる。
どこを見ても明るい。
でもその明るさは、
みんなの孤独を隠すための照明だ。
女たちは笑ってる。
高そうなグラスを持ち、
上品に微笑みながら、
心の中では
「誰にも見捨てられたくない」
と叫んでいる。
男たちは強がってる。
金と肩書きとヤッた女で
自尊心を繋ぎ止めて、
「俺は選ばれてる」
と自分に言い聞かせている。
この街では、
全員が寂しさの仮面をつけて
踊っている。
俺はシーシャを吸っていた
ベランダの扉を閉め、
港区の喧騒を消した。
目の前には、
裸になってベットの中で
まどろんでいるいい女が1人。

俺が吸っていたシーシャの煙の向こうで
女が妖艶に微笑んでいる。
でもその笑顔の奥の虚無は、
もう全部見えていた。
「ねぇ、なんでそんなに何も言わないの?」
「言葉って信用できないだろ。
本音は沈黙の中にしか出ない。」
彼女は笑って「ずるい」と呟いた。
その笑顔が、
一瞬だけ素だった。
心を支配したいなら
支配しようとした時点で負け。
相手に
“自分で選んでる”と思わせて、
その選択肢ごと操る。
それが本当の支配。
無意識で、
無自覚で、
でも確実に相手の中に入り込む。
女は「安心したい」と言いながら、
実は刺激を求めている。
でも一方で、
心のどこかで、
「この人、私を壊すかもしれない」
って感じる男に惹かれる。
だから俺は、
安心を与えず、
不安の中で
安心を錯覚させる。
それだけでいい。
「サムハラって、優しいね」
「違う。俺は残酷だよ。
ただ、優しさの皮をかぶってるだけ」
彼女は少し笑って、
俺に手を伸ばしてきた。
「もう一回、しよ」
俺はその日
彼女の温もりに包まれて
眠りについたのだった。
~~~~~~~~~~~
港区の夜は朝まで続く。
誰かの笑い声が途切れて、
誰かのスマホが鳴って、
気づいたら
店が閉まる時間になってる。
タクシーを拾う女たちの背中を見ながら、
俺は歩いた。
街灯の下で、
ヒールの音が
乾いたリズムを刻む。
ふと立ち止まって、
空を見上げる。
高層ビルの隙間に、
飛行機雲が一本だけ伸びていた。
あの白い線みたいに、
人間の関係も、
最初は真っすぐなのに、
時間が経つとゆっくり歪んで、
最後は消えていく。
それでいい。
消えるからこそ、美しいんだ。
俺は自分に問う。
「俺は今、自由か?」
昔の俺は、
愛に縛られてた。
今の俺は、
愛を操ってる。
でも結局、どっちも
“他人との関係”の中でしか
存在できない。
本当の自由とは、
相手から選ばれることではない。
自分の意思で
繋がる相手を選べることだ。
港区の夜を歩きながら、
俺はスマホを取り出して
メモを開いた。
そこに新しいタイトルを打ち込む。
「サムハラ式美女攻略法」
この街で見たこと、感じたこと、
そして女の脳の構造を。
全てを理論に変える。
俺が自由でいるための
武器にする為に。
そして、
この知識で
1人でも多くの
女に悩んでいる男を救う為に。
夜が明けていく。
ビルの谷間から、
淡い光が滲み出る。
群青の空が、
ゆっくりと白み始め、
世界が少しずつ、
現実に戻っていく。
この時間の空が好きだ。

絵の具では決して再現できない。
夜と朝が溶け合うその一瞬だけ、
誰に対しても平等に、美しさを与える。
酔いも、欲も、嘘も、
この光の前ではすべてが薄れていく。
街が息を吹き返す音を聞きながら、
俺は深く息を吸った。
もう二度と、愛に溺れない。
これからは、愛を操る。
そう呟いて、目を閉じた。
港区の夜が、
ゆっくりと終わっていく。
今日もまた、
この世界で踊ろう。
何を手放し、
何を奪うか。
選ぶのは俺だ。
夜の終わりと朝の始まりが交差する。
その刹那に立ちながら、
俺は静かに目を閉じ
街を後にした。